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統計研修受講記(平成21年度 No.4)
特別講座「行政評価のための統計的手法」を受講して
岡山県倉敷市企画財政局企画財政部 三宅 香織
事業仕分けのニュースが連日報道される中、本市の行政評価の見直しについて、その目的を予算削減とする のか,業務改善とするのか、などと悩んでいた私にとって本当に絶好のタイミングでの研修となりました。
研修の内容は、大きく以下の3部で構成されていました。 @ 国内外の行政評価の実情や課題など制度に関する講義 A 統計データの取扱注意事項や統計的センスの養成に関する講義 B 統計アンケート作成の基本からデータ解析の演習
@は、規制影響評価の実例を基に、具体的な数値やデータに基づいた議論を進め、政策の質を高めるために は、議論のたたき台としての質の高い評価書の作成が必要であるとの講義でした。自分の情報収集が、国内 他自治体との比較研究に終わりがちだったので、欧米の先進事例も参考にすべきだと感じました。また、地 方自治体の政策評価の実例を多く示しながら、どうやって政策決定に評価を結び付けるかという、評価情報活 用へのインセンティブを高める手法についての講義がありました。現状の問題点の整理がなされた上に、新 しい考えや手法の紹介もあり、大変分かりやすい内容でした。
Aは、アメリカの業績測定をベースとした費用便益分析と、行政評価で統計的センスが求められる三つの場 面:評価指標、アンケート、統計分析についての講義でした。さらに、統計データの見方・使い方について の講義では、統計の解釈における間違いをクイズも使って説明されました。クイズの結果では、残念ながら自 分の統計的センスのなさが証明されて意気消沈(泣)。身近にある統計データの誤った見方を認識できるよう に、更なる学習が必要だと痛感しました。
Bは、アンケート票作成に当たって陥りやすい注意点と、統計学の基礎的な事項の説明でした。特に指標 の設定・分析の説明については、目標設定と指標管理の難しさを示す事例も含めた大変具体的な内容でした。 参加前から私の中で期待度が高かったExcel統計処理の演習は、統計学の専門知識がなくても、十分理解 できる内容で、Excel関数の活用場面、公式の考え方が分かりやすく提示されましたが、唯一不満を言えば、 特に私が期待していた、相関・回帰分析の説明が時間切れに終わってしまった点が残念でした。
研修全体を通して、講師の方々の熱意も伝わり、行政評価について専門性が高いだけでなく、最新の情報 が提供され、大変実践的な内容でした。政策決定に統計データをいかしていく「行政評価」の方向性を実感 することもできますので、行政評価を担当する多くの方に受講を勧めます。最後に、講師や事務局の皆様に 感謝するとともに、今後、学んだ知識を業務でいかしていきたいと思います。
(統計調査ニュース 平成22年2月号より)